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2005年08月08日
編集部に届いた1通の手紙−完結編
大おばの日誌に目を通すにつれ、彼女はとてつもなく重要なものを見つけたに違いないと、私は強く確信するようになりました。当時、ファーンコーム家のパピルスについてそのような噂があったのは確かですし、いわゆる神秘主義者の中には、大おばは“ミイラの呪い”によって命を落としたと主張する者もいました。そう、かの有名なツタンカーメン王の墓を暴いた者たちに、死をもたらしたのと同じような呪いです。
事実、大おばが失踪したのとほぼおなじころに、遠く離れたイギリスで、彼女がかわいがっていたネコのハトホル・ラーが急死しました。ですが……
このような偶然はよくあることなので、私は気にしてはいません。何しろ、ハトホル・ラーは18歳。人間でいえば100歳近かったのですから。
カイロからの荷物を受け取った日以来、私は折に触れて、この文献について思案をめぐらせ、大おばの身に起こったことを解明したいと考えてきました。しかし、娘たちのいるアメリカに移住してからは、あまり時間がとれません。そこで、この日誌を公表すれば、大おばの失踪について調べることのできる人の目に触れるのではないかと考え、貴社に出版を持ちかけた次第です。この日誌の内容は、現在受け入れられている古代エジプト史についての仮説とは、多少矛盾するところもありますが、その分、本として出版すれば、魅力的な読み物になることは確かです。
この日誌の出版にご関心がないようでしたら、お手数ですが日誌をご返却くださる様お願いいたします。
草々
ジョアナ・サザーランド(旧姓サンズ)

投稿者 imajinsha : 2005年08月08日 11:10
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